4.手術方法は?
角膜移植には、以下に述べるさまざまな方法があります。以前はほとんどの症例に全層移植が行われていましたが、最近では、角膜の異常のある部位のみを移植する角膜部分移植が主流となりつつあります。また角膜だけでなく結膜も含めた眼表面再建手術を行うことにより、これまで難治であった角膜疾患にも対応しています。
1)表層角膜移植術
角膜の表面の、角膜上皮と角膜実質の一部のみを切除して、切り取った部分に相当する角膜を、移植する方法です。角膜混濁が、浅い部分に存在する場合に、行います。近年では、レーシックに使用するマイクロケラトームという器械で混濁除去と角膜移植片作成を行い、より精密に手術を行うALTKと言う手術法が開発され、当院でも導入しています。
2)深層角膜移植術

角膜表面の、角膜上皮と角膜実質を、全て切除しますが、デスメ膜と角膜内皮細胞は、残しておく方法です。この方法では、角膜拒絶反応が最も起こりやすい角膜内皮細胞を、自分の細胞のまま残すので、拒絶反応がほとんど起こらないという利点があります。自分の角膜内皮細胞に異常がない場合には、良い手術方法です。
3)全層角膜移植
角膜を、角膜上皮、実質、内皮細胞まですべて切除して、角膜を移植します。最も基本的な方法で、角膜混濁が非常に強い場合で内皮細胞が障害されている場合には、他に方法がありません。拒絶反応が最も問題になりますが、ステロイド薬や免疫抑制剤の使用により、かなり頻度は減っています。
4) 角膜内皮移植DSAEK(Descemet's Stripping Automated Endothelial Keratoplasty)
特殊な器具(人工前房とマイクロケラトーム)を使って角膜内皮だけの薄い角膜片(厚さ150〜200μm)を作成し、これを角膜の内側に空気で押さえて貼り付ける方法です。この方法では全層角膜移植で避けることのできなかった術後の強い角膜乱視を防止でき、アメリカでは全層移植の何割かが、この術式に変更されています。DSAEKは当院でも導入しています。
以上の手術は必要に応じて単独または組み合わせて行われることもあります。
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5) 輪部移植術、角膜上皮形成術
角膜上皮細胞は、黒目と白目の境界部の角膜輪部というところに、幹細胞(かんさいぼう)と呼ばれる、角膜上皮の種になる細胞が存在していて、そこから透明な角膜上皮が、のびてゆきます。この幹細胞がなくなると、角膜上皮のかわりに半透明な結膜上皮が、角膜上を覆ってしまい、視力が低下します。このため、この幹細胞が障害されている例には、幹細胞を移植する輪部移植術や、角膜上皮形成術と呼ばれる方法を行います。
6) 羊膜移植術
特にアルカリ外傷などの時は、結膜も瘢痕化して、目が開かないことがあります。この場合は、癒着した結膜を切除して、羊膜という妊婦の子宮から採取した膜を使って再癒着を防ぎ、結膜嚢を再建する方法が用いられます。




