先進の白内障手術 多焦点眼内レンズ手術(先進医療)は 1,000件以上(2008年1月~2018年12月) 近視、遠視、老眼を治療する屈折矯正白内障手術をめざし レーザー白内障手術装置(LenSx®︎)、 術中波面収差解析装置(ORA)を四国で初めて導入 また、トリフォーカル多焦点眼内レンズ(アルコンpanOptix)を導入

白内障とは〜水晶体の混濁による視力低下
眼の中には、水晶体というピントを合わせるためのレンズがあります。白内障は、この水晶体が白くなったり、茶色くなったりして光を通しにくくなり、視力が落ちる病気です。高齢者の視力低下の原因で、もっとも多い病気です。 点眼により視力低下を遅らせることはできますが、視力回復には人工水晶体を用いた手術が必要です。
原因〜最も多いのは老化だが、外傷や炎症でも起る
最も多い原因は老化です。人によって早く進む場合と遅い場合があり、早い人では50歳頃から出現し、治療が必要となるケースもあります。 その他の原因として考えられるのは、糖尿病などの代謝性疾患、眼の外傷、ぶどう膜炎や虹彩炎などの眼内の炎症が挙げられます。 また小児で先天的におこることもあります。
症状〜かすむ、まぶしい、二重に見えるなど
「眼がかすむ」「強い光がまぶしい」「暗いところで見えにくい」「二重・三重に見える」「眼鏡が合わなくなる」「緑内障を引き起こす」などが、主な症状です。
診断と治療〜検査で混濁が強い場合は手術が必要
まず、視力検査を行い、視力低下の程度を調べます。次に、目薬で瞳孔を広げて、水晶体の混濁度と眼底の病気の有無を調べます。1回の来院で、白内障の有無、他の眼の病気の有無が分かります。 視力低下が軽い場合は、目薬で白内障の進行を抑えます。しかし、「免許の更新ができない」「新聞や本が読みにくい」「強い光が当たるとまぶしくて見えない」など、日常生活に不便を感じるようになったら、手術による治療が必要です。

白内障手術の方法〜超音波白内障手術と人工水晶体挿入
超音波を使って水晶体を粉砕する超音波乳化吸引術と人工水晶体(眼内レンズ)挿入術を組み合わせた手術を行います。 まず目薬で麻酔をした後、角膜を2~3mm切開します。細い針のような器具を眼の中に挿入し、水晶体を超音波で細かく砕いて吸い取ります。その後プラスチックでできた人工水晶体を折り畳んで挿入し、眼内で広げて固定します。個人差はありますが、手術時間は5~15分程度が目安です。
また当院では多焦点眼内レンズ手術に愛媛県で唯一のレーザー白内障手術を選択できます。 詳しくはこちら
- 1)麻酔
- 注射は使わず、目薬をさすだけの点眼麻酔を行います。さらに不安を鎮めるために低濃度笑気ガス麻酔を併用します。手術後は、30分程度休めば、歩いて帰ることができます。
- 低濃度笑気ガス麻酔について
- 当院では、手術時の不安解消のため、低濃度笑気ガス麻酔を導入しています。 笑気麻酔とは、痛みを感じにくくリラックスした状態を作り出す麻酔です。歯科では、小さなお子さんの治療の際などに、長年使用されており、安全性の高い麻酔です。「手術が不安」「手術が怖い」という方にも安心して手術を受けていただけます。
- 2)眼内レンズの選択
- 中四国で初めて術中波面収差解析装置 ORA systemを導入
手術中にも眼内レンズ度数を確認して度数をピッタリ合せます。
現在の白内障手術では単に低下した視力を回復するだけでなく、手術前の近視や遠視、乱視や老眼などの屈折異常を治療することが可能です。このような手術を屈折矯正白内障手術といいます。手術で近視や遠視、乱視、老眼を治療するには、極めて精密なレンズの度数決定が必要です。当院では中四国で初めて術中波面収差解析装置ORA systemを導入しました。これまで誤差の出やすかった眼内レンズの度数決定を手術中に直接測定して計算することが可能になり、さらに精度の高い手術が可能になりました。
挿入する眼内レンズには、単焦点レンズと多焦点レンズの2種類があります。
単焦点レンズは、くっきりと見えますが、焦点をひとつしかもたないため、遠・近どちらか一方にしか焦点が合わず、術後の生活でメガネが必要になります。
一方、多焦点レンズ(先進医療または自費診療)は遠近両用ですので、老眼鏡が不要な生活を送ることができます。
現在の多焦点眼内レンズは、色々な欠点が克服され、患者様にとって不満が少ないレンズとなっています。それでも、若いときの見え方を完全に再現するものではありません。1枚のレンズに多焦点性を持たせるために、単焦点レンズには無い性質もあります。適応は患者様の眼の状態により決定しますので、検査、診察の上、医師と御相談下さい。
- 3)手術装置
- 当院では白内障手術器械に、2020年4月からアメリカ・アルコン社の最新の白内障超音波手術装置センチュリオン アクティブセントリー TMを導入し、最新の小切開白内障超音波手術に対応。2017年11月に四国で初めて導入した世界シェアNo1のレーザー白内障手術装置 LenSx(アメリカ アルコン社)と併せて最新のレーザー白内障手術に対応しています。
手術の 方法
- 片眼わずか10〜15分
- 約30分休めば帰宅できます
- 翌日には視力回復
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- 麻酔
目薬をさすだけ痛みはありません
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- 超音波手術
超音波で水晶体を砕いて吸い取ります
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- 術中眼内レンズパワー測定
術中波面収差解析装置 (ORA system)で眼内レンズの 度数を最適化
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- 人工水晶体挿入
最新人工水晶体レンズを
折りたたんで挿入
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- 手術終了
人工水晶体に入れ替え完了
手術後の微調整(タッチアップ)
レンズの特性を十分発揮させるために、手術後に乱視の矯正や度数の微調整(タッチアップ)が必要になることがあります。 これらの微調整は通常はメガネや眼内レンズの交換で行います。しかし、多焦点眼内レンズの場合は、正確な微調整のためにエキシマレーザーでレーシックを行う場合もあります。このように、白内障の術後の治療は、屈折矯正についての深い知識や技術が要求されます。 その点、当院は屈折矯正手術に長年取り組んでおり、近視矯正手術レーシックの経験も豊富です。エキシマレーザー装置も完備していますので、安心して手術を受けていただくことができます。

手術費用
手術費用は患者様の健康保険の種類や年齢、入院手術と外来手術の別によって異なります。表に目安となる金額を示します。
また入院の際のお部屋は、バス・トイレ付き個室3室(1日7,700円~)、バス・トイレ無し個室6室(1日6,600円、5,500円、4,400円)、2人部屋(差額無し)をご用意しております。
レンズの種類と費用
費用は、手術方法とレンズの種類によって異なりますので、詳しくは医師にご相談ください。
■超音波白内障手術(健康保険適用)
単焦点眼内レンズ
遠方または近方のみに焦点が合うため遠方に合わせた場合は老眼鏡、近方に合わせた場合は遠方用メガネが必要となります。健康保険適用です。
■多焦点眼内レンズ手術(選定療養)
A)選定療養
選定療養は、保険対象の単焦点レンズと対象外の多焦点レンズの差額を自己負担することで、多焦点眼内レンズ手術を受けることができる制度で、2020年4月から開始されました。これにより多焦点眼内レンズ手術は従来の先進医療ではなくなり、生命保険などの先進医療特約は使えません。
通常の白内障手術の部分は医療保険の給付対象となります。(上記の単焦点眼内レンズの費用です) これに加えて、単焦点レンズと多焦点眼内レンズとの差額と多焦点眼内レンズ手術に必要な検査分が自己負担となります。自己負担の費用はレンズの価格によって異なります。当院では以下のように定めています。
1)2焦点眼内レンズ(遠方と近方に焦点があいます)
・AMOテクニスマルチフォーカル 165,000円(税込)
加入度数が最も多く、近くを重視する人に最適。乱視には不適合
・アルコン アクティブフォーカス 220,000円(税込)
・アルコン アクティブフォーカス乱視用 242,000円(税込)
近方の加入度数が控えめで、遠くを重視する人に最適. ハローも少ない。乱視にも対応。
2)3焦点眼内レンズ(遠方中間距離(60cm)近方の3つに焦点があいます)
・アルコン パンオプティクス 330,000円(税込)
・アルコン パンオプティクス 乱視用 363,000円(税込)
最新の3焦点レンズで遠方、中間距離、近方に焦点が合い、バランスがとれたレンズ。乱視にも対応。
B)自費診療による多焦点眼内レンズ
ベルギーのファインビジョン・トライアンフ(FineVision Triumf)は、中間距離(+1.75D)への配分を高めに調整したレンズであり、各焦点間の落込みがなく、幅広い焦点域を確保します。日本の厚生労働省の認可を受けていないため、完全な自費診療です。当院ではレーザー白内障手術と組み合わせて行うことで高い精度の手術により、その性能を十分に引き出します。
・ファインビジョン・トライアンフ(FineVision Triumf)660,000円(税込)
術前検査、レーザー白内障手術、術後3ヶ月の経過観察をすべて含みます。ただし、入院費用は別途です。乱視対応については御相談ください。
- 選定療養について
- 多焦点眼内レンズを用いた手術は、2020年4月より、「選定療養」となります。 術前検査、手術費用、術後の経過観察が保険適用となり、多焦点眼内レンズ費用のみ自己負担となります。手術は、レンズの種類により超音波手術またはフェムトセカンドレーザーによる白内障手術を行います。 (入院手術の場合、入院費には健康保険が適用されます。個室代は別途です。) 厚労省未認可の多焦点眼内レンズは、自費診療となりますので、詳しくは医師にご相談ください。
< 手術費用 >
超音波白内障手術 単焦点眼内レンズ(保険適用) | ||
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1割負担 (70歳以上) | 2割負担 (前期高齢者[70〜74才]) | 3割負担 (69才以下と70才以上の現役並み所得者) |
日帰り手術 | ||
約18,000円 | 約18,000円 | 約53,000円 |
入院2泊3日 | ||
約20,000円 | 約40,000円 | 約56,000円 |
多焦点眼内レンズ 白内障手術(選定療養)
レンズの種類により費用は異なります。※術前・術後検査費用、手術費用、入院費用などは健康保険適用です。
レーザー白内障手術による トリフォーカル多焦点眼内レンズ手術
(自費診療) 手術費用 レンズ費用:660,000円(税込)片眼 ※術前・術後検査、薬剤費用を含みます (術後3ヶ月まで)、入院費用は含まれません。いずれも入院中の個室代、食事代は別途負担となります。
Q&A
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- Q.白内障手術で入院は必要ですか?
- A.当院では、折り畳み式レンズを使用して、手術時の傷を最小限にしていますので、特に入院する必要はありません。自宅のほうが、良く眠れるなどの理由で、約半数の方が、日帰り手術を選択されます。ただ、手術による合併症を予防するために、翌日と翌々日の診察に来ていただく必要があります。このため遠隔地の方、ご家族やご本人のご都合により、入院手術を選択していただくことができます。入院は2泊3日です。
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- Q.白内障手術後の通院は?
- A.日帰り手術の場合は、翌日と翌々日に診察を受けていただきます。その後は、手術の1週後、2週後、4週後、2ヶ月後、3ヶ月後に診察を受けていただきます。 入院手術では、退院後の診察は、手術1週後、2週後、4週後、2ヶ月後、3ヶ月後です。 当院への通院が不便な場合は、お近くの眼科に紹介状をお書きしますので、そちらで術後の経過観察を受けていただくことが可能です。
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- Q.白内障手術の実績はどれくらいですか?
- A.当院の手術実績は こちら
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- Q.白内障の手術に年齢制限はありますか?
- A.年齢制限はありません。手術後、認知症の症状が改善された例もあるので、高齢を理由に手術を躊躇する必要はありません。ただし、事前に内科医のチェックを受けて、手術に耐えられるかどうかを確認します。
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- Q.多焦点眼内レンズの原理は?
- A.多焦点眼内レンズには、回折型と屈折型の2種類があります。 回折型は、回折現象を利用して光が焦点を結ぶ点を、近くと中間と遠くの3つ(トリフォーカル)、あるいは近くと遠くの2つ(2焦点)に振り分けています。このため、30cmぐらいの近い点と、60cmぐらいの中間と、5m以上の遠くの点の3つに焦点がくっきりと合います。このため書類を見たりする近方視が、とりわけよく見えるとされ、瞳孔の大きさにあまり左右されないので、高齢になっても遠近がよく見えます(一般に年齢が高くなると、瞳孔の大きさが小さくなります)。 屈折型レンズは、レンズの中心に遠くのゾーン、その周りに近く用のゾーンに分かれています。屈折型の特徴は光を遠近に振り分けないので、遠くがくっきりと見えることが挙げられます。これに対して、近くの見え方は瞳孔の大きさに左右され、瞳孔があまり小さいと、近く用のゾーンが瞳孔で隠れてしまうため、若い人に適しています。屈折型は、遠くの視力を重視する場合に選択します。
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- Q.多焦点レンズに欠点はありますか?
- A.ひとつは、夜間にグレア(光が長く伸びてまぶしく見えること)やハロー(光の周辺に輪がかかってみえること)が起きやすくなることです。クルマのヘッドライトや信号機などをみると、これらが出現しやすくなります。 もうひとつは、単焦点レンズにくらべるとややピントが甘くなり、遠くを見るときにくっきりと見えないと感じる方がいらっしゃるようです。
ハローグレア現象
夜間に光の周辺に輪がかかって見えるハローや、光がやや散乱して見えるグレアがおこることがあります。
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- Q.術後の仕事はいつからできますか?
- A.手術翌日と翌々日に診察があり、それが、終わったら事務仕事や軽作業は可能です。農業や重労働は1週間目の検診の後に医師の許可で始めてください。
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- Q.車の運転はできますか?
- A.術後の視力が0.7以上になれば可能ですが、違和感ある場合は医師と相談してください。