「近視=眼鏡」ではない治療がスタート

近年、スマートフォンやタブレットなどの多用によって小児の近視が増えています。これは日本だけでなく、世界的な問題になっています。
近視が進行すると網膜剥離や緑内障、白内障などのリスクが高くなるということが最近になり分かってきました。
このため、近視の進行を完全に止めることはできないまでも、近視の進行を遅らせる、または進行の程度を軽くすることで、合併症を防ぐことが大切です。

担当医
河内 さゆり
Sayuri Kouchi

担当医
松原 彩来
Saina Matsubara

担当医
大野 美智子
Michiko Oono
1. 点眼による治療
- 初回診察
- 10,000円(税込11,000円)
- 点眼薬費用
- 3,982円(税込4,380円)
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点眼による治療
2024年12月、「低濃度アトロピン製剤」である「リジュセア®️ミニ点眼液0.025%」が日本で初めて厚生労働省に承認され、2025年4月21日より使用可能となります。
日本人の5~15歳の近視患者において近視進行抑制効果が認められました。
近視が見つかった段階ですぐに点眼を始めると、近視進行の抑制効果があることが分かっています。

点眼治療に関するQ&A
- Q.この点眼治療はいつ開始して何歳まで続けるのですか?
- A.点眼治療は小学低学年から始められます。一般的に近視の進行が停止する10代後半(18歳~20歳頃)まで投与を継続することが望ましいと言われています。
- Q.この点眼治療は保険適用ですか?
- A.健康保険適用でなく、自由診療です。検査費用や定期検診の費用、点眼薬代は全額自己負担です。
費用の目安ですが、投与開始時に1回11,000円(税込)程度、3〜6ヶ月に1回程度の経過観察のための診察費用が5,500円(税込)程度、点眼薬代が毎月4,380円(税込)程度かかります。 - Q.学校健診結果により近視が判明し、同時にアレルギー性結膜炎もある場合、低濃度アトロピンと抗アレルギー薬点眼の処方は同日に可能ですか?
- A.近視の治療で低濃度アトロピン点眼を行う場合は自由診療となりますが、近視と関係のない疾患は自由診療と同日に保険診療を行うことができます。
※一方で、自由診療の近視治療中は、通常であれば保険診療である眼鏡の処方やコンタクトレンズに関する検査も自由診療となります。つまり、「近視」という同一疾患において自由診療と保険診療の併用はできませんので、この点ご注意ください。
2.オルソケラトロジーによる治療
オルソケラトロジーは、就寝中に特殊な形のハードコンタクトレンズを装用することによって、日中は眼鏡をしなくても近視を矯正することができる治療法です。当院では20年以上前から行ってきました。
このオルソケラトロジーにより近視の進行が抑制されることがエビデンスとして最近証明されました。
日中は裸眼で過ごすことができるため、コンタクトレンズをせずにスポーツを楽しみたい方やドライアイで悩んでいる方、アレルギーで点眼治療を行っている方にもおすすめの治療法です。

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オルソケラトロジーの仕組み

オルソケラトロジーに関するQ&A
- Q.治療の流れについて教えて下さい。
- A.眼科専門医が、患者様に合わせた特殊なコンタクトレンズを処方します。その後は定期的に検診を受けながら装用いただきます。
- Q.オルソケラトロジーは保険適用ですか?
- A.自由診療で、治療に関わる費用は自己負担です。費用は初年度220,000円(税込)、2年目からは定期検診費用が年間22,000円(税込・年4回の検診費用)です。
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眼鏡(メガネ)・コンタクトレンズを用いた従来の近視治療も行っています
メガネ
眼球に直接触れないので最も安全で、子供でも使用できます。ただ、スポーツの際に邪魔になったり、強度の近視や乱視ではレンズの収差により周辺部がゆがんで見えたりするなどのデメリットがあります。

コンタクトレンズ
使い捨てタイプの登場により、手軽に使用が可能です。ただ直接眼に触れることから、感染症やアレルギーの原因になる恐れがあります。また、近年増加しているドライアイは、長時間の装用ができないコンタクトレンズ不耐症の原因になります。

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それぞれの長所・短所についての比較表
治療法
長所
短所
オルソケラトロジー
・日中は裸眼で過ごせる
・近視進行抑制効果がある
・夜間に継続してレンズを装用しなくてはならない
・強度近視や乱視・遠視は矯正できない
眼鏡
・手軽にかけたりはずしたりできる
・手入れが簡単である
・激しい運動には不向き
・レンズがくもったり、視野が狭くなったりする
コンタクトレンズ
・強い近視や乱視・遠視でも矯正できる
・容姿に影響を与えずに使える
・眼鏡に比べると手軽にはつけはずしできない
・水泳時には取り外しが必要
屈折矯正手術
(ICL,レーシック)
・近視を完全に矯正できる
・手術が必要
・レーシック18歳以上、ICLは21歳以上で適応

近視治療をご希望の方
089-941-4838